Cobolerの実験場

書きたくなった文章を置きに来る場所

“岡山天羅”とは何だったのか

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天羅万象初版の箱。一度、初版を遊んだことがあるのでその時に撮影。ピンボケてるけど

はじめに

 「岡山天羅」とは何だったのか。なんか、そういうものがあったらしいと先輩から聞いたんです。岡山では天羅万象が独自に解釈され、遊ばれていたらしい…岡山天羅とはそういうものなのだと、当時を知る人は語るんだそうです。
 というわけで、今回の記事は、岡山天羅とは何だったのか、事情を知っていそうな方にインタビューを試み、その実態を探ることに主眼をおいて書きました。誰得なんだよ!とも思われますが、どうやら「岡山天羅」なるものがあったという事実がただ埋もれていくのを放置するのも忍びないほどに、筆者は天羅が好きなんですよ…。そういうことだ。〈目的:岡山天羅について調査する〉中級くらいのモチベーションはあると思ってください。

 あと、RPGマガジン誌上でどんなふうに初代天羅万象が展開していたのか、この記事でそういう話はしないことにします。わしにしか書けない記事とは何なのか考えた結果、そりゃあRPGマガジンの話なんかはバックナンバーを大切に保管している人に書いてもらえばいいって話になりますもんな。

 というわけで、私は関係者から事情を聞いて回ることにしました。事前のリサーチにより、どうやらBさんがプレイヤー、DさんがGMだったという情報は得ていたので、順番にお話を伺っていきました。

証言

一つ目の話

 私がいつどういう経緯で岡山天羅という言葉を聞いたのかは忘れたのですが、たぶんAさんから話を聞いたのがきっかけだったはずなので、改めてお話を聞いてきました。

Aさん:俺がその(東京の)コンベンションに出たころは、天羅が発売される前後くらいで。その中でも天羅はパソコン通信で、テストプレイ?みたいなのを配信していたみたいで。
筆者:そんな昔なんですね。テストプレイ用のベータ版みたいなやつですかね?その頃は最初は(ベータ版のようなものが)パソコン通信で出るのが普通だったんですかね?
Aさんパソコン通信で、お試し版を配布して、
筆者:感想を、またパソコン通信なりRPGマガジンにで送るとか。知らないなぁ、そういう時代の話。
Aさんパソコン通信は見てないから何とも言えないんだけど。それで、当時天羅はRPGマガジンでビジュアルをいろいろ公開してて。それで濃いファンが付いてたんだと思うんだけど。それでゲームやってるやつが、たくさんいてて。RPGマガジンには、天羅の感想を投稿するコーナーがあって。そこで、「岡山天羅で遊びました」みたいな投稿があって。それがどうも定期的に投稿されてるらしくて。それを見ると、井上先生とか、あとパソコン通信で天羅をダウンロードしてた読者はこう思うわけですよ。「岡山天羅って何じゃい。」って。
筆者:ってことは、何度も投稿されてたんですね!?
Aさん:そういうコメントが何度も投稿されてたらしくて。で、岡山天羅というものが全く解明されないまま、そういう人たちとコンベンションで会ったとき、岡山出身なんですーって言った俺への第一声が「岡山天羅って何なの。」なわけだよ。
筆者:そういう人たちって、どういう人たちですか?FEARの先生方ですか?
Aさん:いや。パソコン通信で遊んでた人たち、テストプレイ?をしていた人たち。
筆者:ああ、ああ~。
Aさん:今でも付き合いがある人もいるけど。
筆者:つまり、その、パソコン通信RPGマガジンを見ている人たちの間で、「岡山天羅って何だ?」ってなっていったんですね。
Aさん:ひょっとしたら、井上先生や、天羅を作ってた先生方と遊んでる人たちも岡山天羅という言葉は知ってたんじゃないかな。見てるはずだから。
筆者パソコン通信と、RPGマガジンの両方で「岡山天羅」っていう言葉が出てきていたんですね。
Aさん:俺はRPGマガジンしか見てないので。パソコン通信の方は、どういう風に載ってたかわからないんですよ。20年近く前だから。でも、RPGマガジンの読者登録欄に載るのも多分何か月かに1回だから。でも、どれくらいの回数目にしたか忘れた。とりあえず、「岡山天羅って何?」って訊かれたことは確実にある。
筆者:何度か訊かれたことがあるんですね。
Aさん:2~3回はある。
筆者パソコン通信RPGマガジンかは忘れたけど、岡山天羅という言葉が出てきていたから、それについて2~3回は訊かれたと。
Aさん:多分Pマガじゃないかな。とりあえず、天羅を作ってる人たちや、天羅のファンは「何だこれ?」って思ったわけですよ。(天羅が)変な風に広まったらいやだから。っていうか、変な風に広まってるなって思うわけですよ。
筆者:まあ、実際に変な風に広まってたんだろうなぁ。
Aさん:で、俺に訊いてくるわけですよ。
筆者:そりゃあ気になりますよね。

ここで分かったこと
  • RPGマガジン」に天羅万象のプレイレポートを送った岡山勢がいて、そこで「岡山天羅」という言葉が知れ渡った
  • 「岡山天羅」について気になっていた人たちは、岡山出身者を見つけるや「岡山天羅って何」と訊いてくることがあった

 Aさんの記憶も相当あやふやなのですが、RPGマガジンで岡山天羅という言葉を見たことがあることと、それについてほかのプレイヤーから訊かれたことがある、ということは分かりました。

二つ目の話

 どうやらこの人が岡山天羅のプレイヤーの一人だったらしい、という話をどこかで聞いたので、Bさんに話を伺ってきました。ぶっちゃけると、このインタビューは過去記事「トーキョーN◎VAを悪く言う人がいるのはなぜか?」のインタビューの直後に録音したものです。

daitokaiokayama.hatenablog.com

 つまり、今年の4月に録音しました。なんだかんだで半年以上寝かせてしまいましたが、まあ色々あったから仕方がないんですわ。

筆者:あのー、岡山天羅というのが、どういうものだったのかお伺いしたくて。
Bさん:うーん。倉敷のXさんのところで、場所だけ借りてやってたな。喜んでGMをやっていたのは、Dさんだったな。
筆者:ああ、Dさん。やっぱり。
Cさん:岡山天羅ってあれでしょ。製品化する前のやつ。
Bさん:そう。あれを何かで手に入れて、「こんなん手に入れた!」って言って持って帰って。その当時、まだ世界観やらなんやらが全然わかってなかったから、好き放題、勝手放題にやりまくったから、わけのわからん世界になった。
筆者:たとえば。
Bさん:…(ちょっと考えて)上司が金剛機。
筆者:上司が金剛機!無いなぁ~!
Bさん:で、「蕎麦が食いたい。」とかいきなり言い出す。
筆者:金剛機に食べ物は要らなかったはず!つーかエネルギー供給は一切要らなかったはず!
Bさん:で、「隣の領の蕎麦が美味いと聞いたから、ちょっと侵略してこようか!」って感じで情報収集をお願い!お前!また無茶ブリを!みたいな。
筆者:そんなのが普通だったんですね!なるほど!
Bさん:いや、Dさんだしね。
筆者:アアーッ!Dさんだからか!
BさんGMのせいでもあるな。あれはGMのせいが大きい。ていうか、俺らも天羅の世界につては、その当時は全く分かんない状態。情報が全くなかったから。こんな感じかな~って色々やりまくって、もうほとんど覚えていないけど、かなりカオスな感じだったな。みんな、わけ分かんないから、別の方向に、なんていうか。自分のPC放置してNPCを占領して、勝手にロールプレイし始めてたから。
筆者:ああー…。
Cさん:ルール的にも、いろいろひどかったよね。
Bさん:そう。あの当時の判定方法って、かなり無茶苦茶だったから。ろくに成功する感じがせんかった。
筆者:えー!でも。私、初版天羅やったことあるからわかりますよ。
Bさん:いや…あれは違った。
筆者:そうか。初版天羅が出る前のやつだからか。
Bさん:そう、初版の前だから。例えばね、サイコロ振る。(ころころ)1が出た数を数えろ!っていう。
筆者:それは、無理やわー。
Bさん:それに、技能レベルに応じて修正をプラスするの。こういう出目だったら、技能が「大」だったら、4以下で成功するやんか。
筆者:昔は「大」「中」「小」だったのか…確か初版は「上級」とか感じだった気がする。今の出目だと6、4、3、2、2、1なので…上級なら達成値は5になるはず
Bさん:でも、あれだと1しか成功にならない。これに、技能の修正が付いた。そんな感じで。
筆者:ああー。なるほどねえ。
Bさん:とにかく1を出せと。でもこの判定方法、おかしくねーかぁ!?
筆者:おかしいですね!
Bさん:って感じだった。とりあえず、みんなストーリーそっちのけで、あれやこれやとわけの分からんことをやってたから、ほとんど覚えてないのよ。肝心のお話を。
筆者:楽しかったことだけしか、覚えてないと!そして、プレイレポートを送ろうと思ったときに、何がどうだったか、具体的に思い出せなかったから、岡山天羅という言葉を使ったと。
Bさん:アレもねぇ…誰が言い出したんかねぇ。「もう、これ天羅とちゃうやろ!」ってなった。(笑)
筆者:なるほど!(笑)
Bさん:もう、岡山の天羅は、こんなんなっちゃった。っていう状態だったの。だから、その程度の馬鹿馬鹿しい話。
筆者:ああー…ああ、ああ。それでも、こんなに遊んだんだから、プレイレポートは送らな、ということで無理矢理文章をひねり出した結果が「岡山天羅」で。それが県外の天羅ファンの目に止まって。Aさんがコンベに行ったときに何なんだよそれって訊かれたと…。
Bさん:ゴメン!そんな言葉を作り出してしまった戦犯は俺なんです!(笑)
筆者:でも結局、Dさんがノリノリで「よっしゃ!よっしゃ!」ってやっていった、ってことですよね!?
Bさん:やっちゃってたねぇ~。
筆者:でも!良いと思います!(笑)なるほど~…この間、Dさんと一緒に天羅WARやったんですけど、まさかそんな過去があったとは…。
Bさん:ぶっちゃけるとね、あの当時俺らがやってた天羅と比べると、今の天羅ってちょっと…血なまぐさくてちょっと!っていう。
筆者:うん!そうですね。すごい血みどろですよね!…でも、そういうもんなんじゃないんですか?サツバツとした…つまり、岡山天羅ではのんびりダンジョンにもぐったりしてたりとか…?
Bさん:いや、ダンジョンまではやってなかったけど。何だったかなぁ。隣の領に潜入工作、云々とかはあったけど。具体的に何やったかとか、どんなイベントがあったかは、覚えてないの。
筆者GMからNPCを奪ってロールプレイするのが楽しかったと。
BさんNPC乗っ取って、ロールプレイするっていうのが、そっちのほうが面白くなっちゃって。

ここでわかったこと
  • 「岡山天羅」という言葉を作ったのはBさん
  • 倉敷のXさんの家でセッションをしていた
  • Bさん曰くGMはDさんだった
  • 天羅万象公式の世界観設定はよく知らなかったため、とりあえず思い思いに楽しく遊んでいた。なので、公式の世界観とのギャップを知ったとき、自然と「岡山天羅」という言葉を使うようになった

 Dさんも倉敷の方なので、どうやら岡山市内よりは当時倉敷在住だった人たちを中心に遊ばれていたようです。

三つ目の話

 先のインタビューでは思いがけず「俺が戦犯なんです!」という言葉が飛び出してしまいました。というわけで、GMだったというDさんにお話を伺ってきました。このインタビューは、ガープス強化月間中の8月末に録音したものです。この時見せて下さった妖魔夜行のキャラシーは過去記事「ガープス強化月間・激闘の記録」に掲載させて頂きました。 

daitokaiokayama.hatenablog.com

 妖魔のキャラシーとこの岡山天羅のキャラシー見てて気が付いたんですが、Dさんってナンパなキャラクターを作るのが好きなんですね。

筆者:実は、岡山天羅についての情報を集めているんですよ。
Dさん:…もう、そんな情報持ってるヤツ、いねーんじゃないの?
筆者:いや、それが。
Aさん:昔、僕が東京に暮らしてたときに、向こうのコンベで会った人に「岡山から来たんです」って言ったら、当時の天羅をやってた人たちから大概「岡山天羅って何?」って言われたんです。いや知らねーよ!っていう。(笑)
Dさん:いやー、ちょっと変わってるのよね。どこで変わってるのか、わかんないんだけどさ。比べてないからね、違いを。
筆者:いや、Bさんに聞いたんですよ。GMはDさんだったって。
Dさん:いや、あの時のGMはY君だったかなぁ。今、ほとんど顔を出してないけど、そういうやつがいたの。
筆者:ふむー。
Dさん:あの辺の人たちで集まるとき、Y君っていう人が居てね、新作が発表されるところ、どこだったかな。
筆者JGC
Dさん:それかな。直接そこに行っては、「こういうものを貰った」って岡山に持って帰って、岡山で広めていった。製品化する前の話ね。(キャラクターシートを見せながら)これがそうだね。
筆者:これが、そうなんですか!?
Dさん:これが、一番最初に持って帰ったキャラクターシートね。

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筆者:ふーーーーん!!(興奮)
Dさん:俺が学生の頃のキャラクターシートだから。
筆者:これ、初版とはまた違うやつですね。
Dさん:そうなのかな?確かにね、毎回少しづつ変わっていくんだよ。
筆者:初版は、周りに円が描いてあって、「天羅万象」って書いてあった。で、ハイパーオリエンタルファンタジーって書いてあった!

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Dさんアーキタイプにね、サムライ武士、カッコ蟲入りって書いてある。
筆者:あー、蟲サムライですかね。
Dさん:蟲サムライとはまた別に作ったみたいね。金剛機っていうのが最初いて、
筆者:今もいますが…
Dさん:それが途中、機人っていう名前になったりしてたのよ。
筆者:あー、また機人と金剛機は別のもののはず。
Dさん:この辺はよく、名前が変わってたの。
筆者:へー…ってことは、ベータ版が1回出てから、時々アップデートされてたりしてたんですか?それが、パソコン通信でアップデートされてたんですか?
Dさん:うーん。今となってはわからんなぁ。
筆者:なんか、Bさんが言うには、上司が金剛機。で、隣の領の蕎麦がおいしいらしいから調べてこいよ、というようなシナリオを、DさんのGMでやったって聞いたんですけど。
Dさん:蕎麦か!相当古いなそれ!(笑)
筆者:なんか、とにかく楽しくって、NPCをジャックして、話を無茶苦茶してて、何をやっていたかは忘れたけど、とにかく楽しかったんだったってことしか覚えてないっておっしゃってたんですよ。
Dさん:そういうプレイをするのはY君だな!あの人は人をジャックするのが好きだったからなぁ。
筆者:で、プレイレポートを送ろうとしたら、「これ、天羅じゃなくねえ?」ってなって、岡山天羅という言葉を生み出したんだとお伺いしています。
Dさん:うん。それで合ってると思う。
筆者:じゃあ、プレイレポートを送ったのは、Dさんじゃなくて、
Dさん:Y君だね。もう香川の方に帰っちゃったけどね、分からん。もう結婚してからこっち来なくなっちゃったからね。
筆者:なるほど!!では、岡山天羅は、ここには最近来ていない別の人がまだまだいるってことなんですね。
Dさん:最近っていうか、ほぼ来ていない人ね。
筆者:とりあえず、JGCかなんかでベータ版を貰ってきて、それのアップデートがパソコン通信かなんかで上がってきてたんですね。そのプレイレポートに「岡山天羅」という言葉を使ったってことなんですね。
Dさん:そう。プレイしたのを、本家に感想送ってた。そういうことを繰り返してた。
筆者:なんとなく分かってきました。
Aさん:ホント、いろんな人から訊かれたからね。最終的には、井上先生からも訊かれた。
筆者:先生にも訊かれたと。
Aさん:僕岡山出身なんですって話をしたら、「岡山天羅って何?」って訊かれた。
筆者:へー。じゃあやっぱり何度もプレイレポート送ってたんですね。
Dさん:時代が分かるなぁ~。
筆者:応募用紙があって、それに書いて送った、またはパソコン通信で。…とりあえず、知りたい情報が集まったような気がします。最初にJGCかなんかで貰ってきたやつがあって、それ以外に初版より前のキャラシーが出てきたってことは、またなんかアップデートが紙上であって。で、岡山天羅で遊んでた人たちが、熱心に岡山天羅という名前を使ってプレイレポートを送って、その感想を見た人たちが、「何やねんこれ!」ってなったんですね。
Dさん:言い始めたのは誰なんだろうねえ。
筆者:あ、「俺が戦犯だ」ってBさんが仰っていました。
Dさん:そうだそうだ。言ってた気がする。うん。自然と、そういう言葉を使いだしたな。

ここでわかったこと
  • Bさん曰くGMは香川のYさん
  • Dさん自身はプレイレポートを送っておらず、Yさんが送っていたらしい

今回のまとめ

 次第にTRPGから引退した人の話が多くなってきたので、記事は一旦ここで終わりたいと思います。筆者は引き続き岡山天羅について調査を続けていくつもりなので、今回は中間報告という感じで、取り急ぎ記事を公開しておくことにしました。

情報求む

 というわけで「岡山天羅、Pマガで見たことがある」とか「パソコン通信TRPGについて色々覚えてる」とか、情報をお持ちの方は筆者のツイッター又はこの記事のコメント欄等に情報をお寄せ下さい。情報がたくさん集まったころに、また新しい記事を書きますので。

何はともあれ、いったん記事にすることができて良かった。今はそんな気持ちです。

BLセッションをするときは、必ずプレイヤーの地雷についてリサーチするんやで。せんかったら死ぬで。(ブログ主からのメッセージ)