Cobolerの実験場

書きたくなった文章を置きに来る場所

トーキョーN◎VAを悪く言う人がいるのはなぜか?

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はじめに

ことのはじまり

N◎VAの事を良く思っていない人がいる。その事実に気がついたのは、最近です。

月に3回も4回もコンベンションをやっている岡山で私は、ルーラーとしてN◎VAを毎週のように持って行き続けていたのですが、そのなかで「なんかN◎VAって、昔は酷かったらしい」という事に気が付かされる事がありました。

たとえば、先輩から「昔って、よくPVPしてませんでしたっけ」なんて言われる。最新版のトーキョーN◎VA THE AXLERATION*1からN◎VAを始めた初心者ルーラーの私としては、「いや、そんな事は初めて聞いたんですけど!?」としか言いようがない話でした。別の先輩にその話の真偽について伺うと、「確かに、昔のN◎VAはカオスだった…」なんて言われてしまい、私はさらに困惑しました。そしてトドメを刺したのは、コンベンションで出会ったある先輩のこの一言です。「N◎VAには良い思い出がない。」それは、N◎VAに入るくらいなら帰るよと言わんばかりの厳しい表情でした…。一体、何があったんだ、昔のN◎VA。

というわけで、私は地元のコンベンションのセッション外時間を利用して、「昔のN◎VAって具体的にどう酷かったんですか?」という話を伺ってきました。近くで聞いていた方も途中から話に加わって下さったりした結果、合計8人の方から意見を伺う事ができました。*2

この記事のスタンス

私はN◎VAが大好きだし、昔は酷かったからどうだとか言う気はないです。ただ、この記事を書くために昔の話を伺っていくうちに、だんだん「N◎VAにはいい思い出が無い」と言ってN◎VAを嫌いになってしまった人の気持ちが分かってしまいました。それは何というか、マンチキンとの接近遭遇によってTRPG自体が嫌になってしまいかけた記憶を呼び起こすような、暗澹たる気持ちでした。

なので記事に変な私怨が入らないよう、先輩方との会話を中心に据えて、出来る限り淡々と書いた感じの記事にしました。記事の中で話が行きつ戻りつしますが、時系列に沿って書いた結果こうなったと思ってください。というわけで、この記事は岡山という、いわゆるひとつの火星のローカルな話として、見て頂ければ幸いです。(かなり長くなってしまいましたが…。)

証言

1つ目の話

一緒にN◎VAの卓を囲んだこともある3人の方に、まずお話を伺いました。

Aさん:昔のN◎VAは知らないんだよねえ。
筆者:いや何か、カオスだったとか、PVPしたとか。そういう不穏な話をいろいろ聞くので。実際この間なんでN◎VAが立たなかったかと言うと、参加人数のわりにGM希望者が多い。で、ほかのGM希望者さん*3から「絶対N◎VAはやりたくない。嫌な思い出があるんだ」とめちゃくちゃ怖い顔で言われてしまったからなんです。
Aさん:大昔のイメージ引きずってて、今の状況を知らんのじゃろ。
筆者:なので、昔一体どんなひどいことが行われていたのか、ずっと気になっているんですよ。
Aさん:うーん。それについては、俺は答えられん。つうか俺は知らない。
Bさん:おそらく、当時は天羅*4とか深淵*5ブイブイ言わせていた頃*6なので、その影響ではないかと。深淵には、昔入ってひどい目に遭ったことがあります。まあ、天羅に入って俺はひどいことをしたこともあるけど。(笑)
筆者:天羅!!…PVPも当然のように行われていたんですか?要するに天羅みたいに。*7
Bさん:結局ね、ハンドアウトによるんです。深淵には、対立するタイプのハンドアウトがよくあったので。
Aさん:あれは、みんなで協力して、っていうハンドアウトじゃなかったな。
Cさん:結局、メンツ次第だと思う。うちも、N◎VAやってて、キャラクター同士の利害が対立したら、ガチPVPやるプレイヤーもいたし。
筆者:そうか。そういうノリでやってるのがカッコイイと思っているプレイヤーが居たら、卓でPVPが起こる、その程度の話なんですね。
Cさん:キャラとプレイヤーを切り離して、メタ的に思考せずに、絶対に譲らん、そういう考えね。

私は最初、望まない状況からPVPに巻き込まれたことが、N◎VAを嫌がる人がいる原因のひとつになったのではないかと思っていました。確かに、N◎VAでPVPしたことがある、という証言は得られました。しかし、それが原因というわけではないことは、次の話で分かってきました。

2つ目の話

Dさんは以前「昔のN◎VAって、よくPVPしていませんでしたっけ?」と仰っていたので、お話しを伺ってみました。実際にPVPが発生した状況についてお話をして下さった(長くなるので、省略しますが…)後、PVP以上にひどい目に遭った話を聞かせて頂けました。

Dさん:昔のプレイヤーではあまり、PVPが起きたから、じゃあ(敵になった)プレイヤーも嫌いだっていう人には会ったことがないです。ただ、N◎VAの場合…
筆者:それができていない人が、多かったってことですか?
Dさん:というよりも、N◎VAの場合、プレイヤーに経験点が入るっていうシステムになった一番最初の頃だったんです。*8*9
筆者:ああー!
Dさん:だから、パワーバランスがガタッと崩れた状態で…っていうことは(嫌な思い出の原因として)あったと思います。
筆者:パワーバランスが崩れている状態で、初心者とかが入っちゃうと、活躍できないままシナリオが終わって、嫌な思いをしちゃうってことが、よくあったってことですね。
Dさん:そうですねー。
筆者:「嫌な思い出がある」って仰っていた方は、自分が活躍する機会がないまま終わった的なことを仰っていました。なので、そっちかもしれないですね。
Dさん:僕も、みんな300点とか使っている中で、初期キャラで入った。
筆者:それは…神業があるN◎VAでは大目に見られるのかもしれないけど、他ではあり得ないですね…。
Dさん:で、他の人はN◎VAをやりこんでいるから、神業とかもうまく使える。でも僕は初めてだから、「神業、どう使うのかな~」っていう状態。
筆者:なるほど。そんな嫌な思いをしたこともあるけど、まあ基本的には楽しかったかな、ってことなんですか?
Dさん:まあー…僕の場合は、どんなシステムでも、どんなシナリオだろうが、楽しむっていうのもプレイヤーのスキルだと思っています。
筆者:うーん。この嫌なシチュエーションを利用して、
Dさん:楽しむ心はある。
筆者:じゃあ、そういう卓にあっても、うちはうち。よそはよそ。みたいな感じで、ちゃんと楽しめたんですね。
Dさん:その時は、楽しむっていうことは失敗しましたけど。
筆者:ああー…。
Dさん:失敗しただけで。
筆者:そういう、システムが導入されたときに、マナーとかが確定されてないゆえの不公平さみたいなのもあったってことですね。

ここで、経験点の使い方によって、経験者と初心者の間の壁のようなものが発生したことが分かってきました。カーロスの言葉を借りるならまさに「この程度のハンデ、火星じゃ日常茶飯事だぜ!」だなと思いました。

さらに、経験点に限らず、プレイヤーのリアル経験値の差が問題を生んでいった話も聞くことができました。

Eさん:横で聞いてて、懐かしい!10年前に、5年前の話として聞いたよーな話だよなーって思ったの。
筆者:実際に経験されたことがあるんですか?
Eさん:10年前に、僕が昔話として聞いたような話ですよ。それこそ2版とか、『オーサカM○●N』*10とかの頃ですよ。
筆者:はい。
Eさん:その頃人気のシステムって、N◎VAと、ソード・ワールド*11と、セブン=フォートレス*12位しか無い時代だったので。だから、N◎VAって、すごく人気があったんです。それもカルト的な人気があったんです。そうすると、母集団が多い所に、カルトな人気があったら、変な人が多いに決まってるじゃないですか。
筆者:ああー!そういうのもありますね!
Eさん:そういう人たちが目立つんです。
筆者:「ああいう事をやった人たちが居るらしいぞ」とか。
Eさん:マンチなコンボだったりとか、やっぱりそういうキツい感じのことをする人たちが、目立っちゃう。2chの、「困ったちゃん」*13っていうスレがあったんですけど、あそこによく名前が出ちゃうんです。
筆者:ああー。N◎VAって「元祖キャラ厨」って呼ばれてますよね。
Eさん:そうそうそう!なので、やっぱりそういう噂が広まるから、「N◎VAってそういう人、多いよね。」っていう話が広がるんです。
筆者:そういう先入観があり、実際に嫌な思いをしたことがあり、そういうことが重なって、評判が悪くなっていくんですね。
Eさん:N◎VAって、世界観があって、世界観を楽しむゲームなので、世界観に入りきれない人と、入りきった人の溝は、やっぱり大きいんです。
筆者:ああー!なるほど。確かに今も、古参が幅をきかせていて、入りづらいゲームだって言われることがありますしね。*14
Eさん:あー…まあ、そういう連中には、追加経験点ナシって言えばいいと思う。
筆者:はい!私もそう思います!(笑)普通はそうなりますよね。だから、さっきDさんとの話に出てきた、経験点300点と初期の違い、みたいな…
Eさん:あった!経験点300点って、あったね!昔会った、そんな人。
筆者:しょっちゅう居ましたか、やっぱ。
Eさん:神業使わないと、その攻撃や効果は打ち消せないっていうレベルの攻撃を、普通に出されるんですよ。
筆者:達成値がアホほど高いみたいな。
Eさん:「だってこれ、(キャラシーの)ここからここまで組み合うもんね」みたいな。
筆者:なるほど!(笑)
Eさん:「じゃあ、それ…《チャイ》使いたいんだけど…」「神業じゃないから打ち消せないよ*15」「そうっすねー…」みたいなのは、あった!
筆者:なんか、すごい分かります!(笑)もう、普通の攻撃だけど、《難攻不落》しなきゃ防げないみたいな。
Eさん:そうそうそう!ありました。「これ、社会ダメージなんだよねー!*16」みたいな。
Dさん:ちなみに、僕がその300点くらいの点差をやられたサークル*17では、日本全国のN◎VAのルルブの売り上げの1%くらいを占めていたんですよ。そのサークルだけで。
筆者:そんなにたくさんルルブを買ってたってことですか!?
Dさん:そのサークルも80人くらいだったんで。その中だけで、何10冊も買われてたんです。
筆者:まあ、大手サークルなら、そういう事もあるんでしょうねえ。

EさんとはN◎VAの卓を囲んだことはないのですが、このように興味深いお話を伺うことができました。お話しの最後に、「N◎VA、いいシステムなんですけどねー」と仰っていたことを追記しておきます。

このように、システムは良いと思うんだけど、卓に参加したら嫌な目に遭ってしまったと感じている方がいることがよく分かりました。その理由も、納得のいくものでした…。人気があるから変な人も多い。だから困ったちゃんとの遭遇率も高くなり嫌な噂が先行する、そして実際に嫌な経験をしてしまう…そりゃあN◎VAの評判も悪くなるだろうよ、と思います。

3つ目の話

この時のコンベンションでN◎VAの卓を立てた際に、プレイヤーとして参加して下さった4人の先輩方にもお話を伺いました。

Fさん:岡山の場合は、個別の問題もあったよ。
筆者:どういうことですか?
Fさん:昔ね、問題のあるGMが居たわけです。N◎VAがとっても大好きだったんです。ただそれだけ。
筆者:ああ…。そういう事もあったんですね。
Fさん:だから、そういうヤツが、ずっとやっていると、やっぱりシステムも叩かれるんですよ。GMだけじゃなくて。
筆者:なるほど。でも、それ大事ですよね。分かります。要は、風評被害ですね…。

さもありなん、という意見を聞くことができました…。相手がN◎VAじゃなくても、風評被害が発生するレベルのひどいGMだったようです。今までの話の流れとは若干違いますが、単刀直入にそのGMが嫌がられていた感がすごい…。

さらに、システムの面からアプローチしたお話を伺う事もできました。

筆者:特に、カオスな状況を体験したことは無いんですか?
Gさん:特にないなー。
筆者:残念。いや、他の人に聞いたら、いろんな状況でPVPしたとか、あったんですよ。
GさんPVPはねえなー。
筆者:こないだ福山に行ったときに、N◎VAの評判はすごく悪い…とくに昔から(TRPGを)やっている人には。っていうのが分かったので、記事にしようかなと思いまして。昔はどうカオスだったのか、知っている人に話を聞いて回ってるんですよ。
Gさん:いやー、昔は特技の組み合わせが自由だったから。滅茶苦茶やる人がいっぱいいたのよ。(うんざりした様子で)
筆者:滅茶苦茶やるっていうのは、「これとこれを組み合わせます」「そんなの無理!」「いや、通るんです」みたいなやつですか?
Gさん:通るよ。電脳戦で、カタナの〈居合い〉とかを組み合わせたり。*18
筆者:滅茶苦茶だ!
Hさん:あと、そういうのを知ってる人と、知らない人の差が大きすぎて。(そういったルールを)分かってる奴は、1回の攻撃で連続攻撃をガシガシやってくるわけですよ。
筆者:ああー。これをやったら、ARが増えるよ、みたいな。
Hさん:〈メレー〉Ⅰ~Ⅳとかっていうのがあってね。それを全部組み合わせたりするのね。
筆者:〈メレー〉って何ですか?今は無いですよね。
Hさん:白兵の特技ね。
Iさん:受け流し。
Hさん:そうそう。〈メレー〉Ⅰ~Ⅳっていうのがあって、それを全部持ってると、「〈メレー〉します。〈メレーⅡ〉します。」ってどんどんやっていけるの。
筆者:分かった。なるほど。1カット1回しかできないはずなのに、それをどんどん増やしていく特技を取って行って、1カットに4回もやっちゃうってことですね。*19
Hさん:そうそう。
Iさん:回転剣舞!ってね。(笑)
筆者:恐ろしいな。経験点のレギュレーションとかも適当だったから、そういうのをやっちゃう人がいたら、初心者はやることが無くなってしまって、「はあ…」ってなって帰るってことですね。
Hさん:で、やっぱり当時はハンドアウトもシナリオのトレーラーも無い*20わけだから、何も考えずにキャラ作ったら、そういう修羅ができるか、何もできない奴ができるかのどっちかだった。
筆者:ああー…。なるほど。
Hさん:それと一緒に混ざってしまうと、起こるべくして起こる事故が起こるし、ちゃんとシナリオをやろうとしている人がいると…
筆者:無茶苦茶やってる人に対して腹を立てる、みたいなことが起こるんですね。
Hさん:まあ、こういう事は、起こるべくして起こるわけだから。
筆者:じゃあ、事故が起こらないようにやっていった結果が、今の慎重なハンドアウトであったり、PS*21とSPS*22であったりするわけですね。
Gさん:そう。昔のそういうふうな反省を踏まえて、やってるんだよね。

要は、システム自体に、マンチなコンボを組ませやすい要素があったということでしょう。トーキョーN◎VAはシステム自体も楽しいし、世界観も楽しい。でも、そこに目を付けた面倒な連中が、初心者をドン引きさせてしまった…。

そして、「当時はハンドアウトもシナリオのトレーラーも無い 」という話。逆に言えば、「今はトレーラーとハンドアウトがあるので、キャラクター作成の事故は起こりにくい」という事でしょうか。これに加えてシーン制が導入されたことなどで、2ndの時代と比べるとD以降では活躍度の格差を比較的減らせられるようにシステムが改良されていったといえます。N◎VAの歴史は、セッション中の事故とそれを踏まえた改良の歴史でもあるのでしょう。

4つ目の話

以上の話で気になったことについて、HさんとFさんに別の機会にお話を伺うことができました。長い話なので、一部を引用します。

Hさん:やっぱり、世界観は好きだけど、ルール的にちょっと、っていう人もいるし。昔はね。
筆者:ああ、昔は、なんですね。
Hさん:リプレイ読んだら面白そうだと思ったけど、実際やってみると…ってなっちゃう。〈メレー〉で6連攻撃とかしちゃうヤツがいるわけだから。
筆者:6連攻撃…。
Hさん:6連まで行けたかは忘れたけど。
筆者:考えてたんですよ。〈メレー〉にⅠ~Ⅳがあって、1メインプロセスに4回行動できたら、ARが2あった時…っていう話を。それは1カットに8回攻撃できるっていうこと!?と。
Hさん:現状、僕の手元にツクダの箱*23が無いから何とも言えんのんだけど、そういう話はけっこう聞く。
筆者:ああー。
Fさん:だって、シャドウラン*24は4回とか、当たり前に動くからな。
筆者:そっちの影響なんですね!なるほど。
Fさん:ストリートサムライをやってたら、それこそ1ターンに4回動くから。ていうか4回動けなかったらストリートサムライとして失格なので。(笑)
筆者:それは別のゲームの話ですよね?(笑)
Fさん:ただ、影響は相当与えてる。
Hさん:昔は簡単にできたからね。Dまでは、(アウトフィットの)タイプDを付けるだけで、それができたから。タイプDも、そんなに高いわけじゃないし。サイバーウェアを入れてる戦闘系はだいたいタイプDが入ってて、4連攻撃とかしてくるわけですよ。
筆者:うーん。
Hさん:経験点30点ゲタ履かせたくらいじゃ、そこまでは上手く行かないけど。僕だって、経験点100から250くらいまで突っ込んだキャラクターを作ってて。もちろん、それは達成値25環境で、全員だいたいそれくらい使っている卓の話ね。
筆者:あのー、それで思ったんですけど。ここに「ナイトブレイク」ていうリプレイがあって*25。キャストの使用経験点なんですけど、クロイツェルは351点、千早伶呀は215点、カイルが92点で鹿島アスカは30点っていう。一体昔のレギュレーションって何だったんだ?っていう風に思ったんです。公式でこんな調子だから、民間で我々がコンベンションに来てやっているぶんには、本当に酷かったんだろうなって思って。
Hさん:例えば、みんな手持ちのキャストを、大規模なオフ会とかで出すわけよ。その場合のレギュレーションは、ほぼ一つだけで。達成値は25まで。
筆者:ああー!達成値なんですね。
Hさん:そっから先は、足切。正確に言えば、単独では、達成値は25まで。
筆者:それだから、経験点は不問なんだけど、実際にやってみたら、ARが多かったり、1メインプロセスでたくさん攻撃できたり。色んな特技を持っているから当然経験点を沢山積んでいる人の方が強いっていうことですね。そういうレギュレーションだったのか!
Hさん:けっこう日数をかけてプレイヤーもプレアクトを始めるので、経験点が無いなら、200点くらいゲタ履いてよ、ていう話はする。最近は知らない。僕が参加したD時代のオフ会はそんな話*26。だから、500点とか1000点とか突っ込まれているヤツと一緒にセッションしたこともある。特に問題はない。
筆者:N◎VA的には、達成値がレギュレーションだったことがあるんですね。
Hさん:だから、今でもそうだと思うよ。
筆者:まあ、聞かんでもない*27。全くそういうところに出入りしたことはないから分からないけど、それで初心者が、N◎VAの中だけで通じるようなルールを知らずに入ったら、「はい?」ってなるのは当たり前だなと思います。
Hさん:初期経験点だけだったら25まで行くのは大変だから、もうその時点で、初心者でも何10点か、100点とかあげたり。もう経験点なんか見てないルーラーも居たからね。
筆者:うーん。なるほど。
Hさん:とりあえず、経験点持ってる人には、25までにしておいてくれればいいよ、みたいな。25まで出してくれたら良いよ、っていうのはあんまり経験点の手持ちがない人に言う。

要は、高経験点キャスト用のレギュレーションが、ある時期から生まれていった。そして、高経験点キャストはそこで戦うことが許された…ということになるでしょうか。意外な話を聞くことができました。そして初心者プレイヤーでも経験点を沢山持っているプレイヤーと同じ土俵で戦えるように配慮されていたとのことなので、D時代には2nd時代とは全く次元が違う、初心者フレンドリーな環境になっていたようです。*28

ちなみにDからN◎VAを始めたAさん、Bさん、Hさんは具体的に嫌な思いをしたことは無いそうです。

考えたこと

雑なまとめ

雑にこれまでの話を振り返ってみると、なんだかこんな感じだったんじゃないかなと思いました。

  1. 災厄の都トーキョーN◎VAが生まれる。知恵と力をそなえた者が弱者を食い物にする。そんな時代の幕が開ける
    ※俺TUEEEを演出できる最高のシステムにマンチキンを含む濃いプレイヤーが飛びつく
  2. 混沌としたストリートに迷い込んだ一般人が被害を受ける事件・事故が続出
    ※コンベンションでN◎VAにうっかり参加した初心者が、経験者との知識格差、経験点格差、その他えげつないRP等で酷い目に遭うことが増える
    ↑ここで酷い目に遭った人が、「N◎VAにはいい思い出がない」と言うようになったのではないか。
  3. ストリートで起きた凄惨な事件が連日ウェブを騒がし、一般人は益々ストリートに近寄れなくなる
    ※N◎VA卓にこんな「困ったちゃん」が居ましたという報告が連日2chにあがり、悪い噂が広がる
  4. 行政府がストリートの治安の改善に乗り出す
    ※ルール改正、追加等で事故対策が進む
  5. ストリートの住人たちの間でも、治安の改善のためのゾーニングが行われ、カタギに迷惑をかけないための掟が作られる
    ※ガチ勢向けのオフ会等が開かれ、高経験点キャスト用の戦場が整備される
    ↑この時点で事故率は大幅に減少しているはずなので、DからN◎VAを始めた人たちは嫌な思いをすることは少なかったのではないか。
  6. 度重なる法改正、ストリートの住人の意識改革等によりストリートで起きる事件・事故は激減し、一般人が気軽に立ち寄れるようになる
    ※「N◎VAはコンベンションの地雷*29」と呼ばれる時代は完全に終わったとされる程度には「普通のゲーム」になった

私が考えたこと

ここまで話を聞いてきた結果、DまでのN◎VAとXのN◎VAは違うんだな、と思いました。GF別冊「今から始めるトーキョーN◎VA」のインタビューを読んでいても、社長が「…普通のゲームになった」と仰っている*30理由はこういう所にもあるのかな…と思ってしまいます。サンプルキャラクターが居なかった理由もスゴイけど、もっとすごいことが色々あったんじゃないですか?なんて思ってしまいました。

いずれにせよ、トーキョーN◎VAそのものが悪いわけではないです。ただ、ルールをよく知っている人・経験点をたくさん持っている人達が、初心者を蹂躙してしまった過去はあった。世界観をインストールして入り込んだ人たちは楽しかったのかもしれないのですが、まだ馴染めていない人たちに対する配慮をしない一部のプレイヤーたちが原因で「N◎VAには良い思い出がない」人が生まれてしまったのではないでしょうか。そういった過去にプレイヤー同士で発生していたトラブルを、ルールの追加と修正によって乗り越えてきたのが今のN◎VAなんだな…という事がよく理解できました。 *31

そんな偉そうなことを考えながら暗澹たる気分になってしまったのは、実際に私も凶暴な"ガチ勢"もどきと遭遇してしまったことを思い出したからです。はい。詳しくは言えませんが。だからN◎VAは悪くないんです。N◎VAにのさばる悪人が悪いんです。

最後に、"帝王"稲垣光平のこのセリフが猛烈に身にしみたので、引用して締めたいと思います。

全くこの街は最低だ。だが、俺にとっては天国だぜ!

ここまで読んでくださいまして、誠にありがとうございました。XYZ.

*1:2013年発売の現行版。以下、X

*2:なんだかんだで、トータル15人くらいの先輩方から協力して頂けていると思う

*3:実はこの方と出会ったのは県内ではなく、福山に行った時のことでした

*4:天羅万象。1996年に初版が発売されている

*5:1997年に初版が発売されている

*6:トーキョーN◎VA The 2nd Edition(以下、2nd)は1995年に発売されている

*7:前年のOGA秋季大会にお越しになった遠藤卓司先生のトークショーで、『吸血姫』のプレイレポートによると、このシナリオでPVPした卓も無くはなかったという話を聞いていたため、そう言っている

*8:1998年発売のトーキョーN◎VA The Revolution(以下、R)で、現在のように経験点がGMとPLに溜まるシステムが搭載されたそうです。参考⇒http://silverstar.silsil.ifdef.jp/column/system01.html

*9:冒頭の写真は、ある先輩の筆箱から出てきた経験点チケットを撮らせてもらったものです。R時代のSSSのシナリオのようです

*10:2ndのサプリメント。1996年に発売されている

*11:初版は1989年発売。1996年に完全版が発売されている

*12:1996年に発売されている

*13:過去スレまとめのwikiがあります。⇒https://www6.atwiki.jp/kt108stars/

*14:そういう話を、以前別の先輩からお聞きしたことがあったので、こう言っている。私はN◎VAを始める前の段階では、そう感じたことはなかったです

*15:Xでは、そんなことはない

*16:Xでも、社会ダメージは《難攻不落》では防げない

*17:Dさんは関東に住んでいたことがある

*18:"基本的に、どんな技能も“組み合わせ”可能である。(中略)「そんなのどう考えてもヘンだよ」と言われるような組み合わせ方は、ルーラーによって却下される"2ndのルールブック159ページより

*19:"同じ技能を複数習得しているなら、組み合わせることによって、同じ行為を1アクション(あるいは1判定)で、最大技能数と同じ回数だけ行うことができる"2ndのルールブック159ページより

*20:ハンドアウトが初めてルールとして搭載されたのは、Rだったそうです。参考⇒http://crosshill.cool.coocan.jp/trpg/handout2007.htmlでも、GF別冊『今から始めるトーキョーN◎VA』には2003年発売のトーキョーN◎VA The Detonation(以下、D)からって書いてあるな。どっち?

*21:Dのサプリメント『マーダーインク』で初めて導入された。サプリメント自体は2008年発売

*22:Xのサプリメント『クロス・ザ・ライン』で初めて導入された。サプリメント自体は2014年発売

*23:初版トーキョーN◎VAのこと。1993年に発売されている

*24:米国では、初版は1989年に発売されている

*25:GF別冊『鈴吹太郎の挑戦』掲載のRのリプレイ。2001年。以前別の先輩に頂いた(?)もの。

*26:Hさんは東京に住んでいたことがある

*27:手元にあるD時代の同人シナリオ集には、確かにレギュレーションとして達成値云々が書いてあった。その時点では、達成値云々が書いてある意味が、全く分かっていなかった。そういう事を思い出しながら言っている。要は勘違いです

*28:Hさんはこの記事の下書きを見て「N◎VA-D時代の達成値25環境のことを悪く言わないで欲しい」ということを仰っていました。私としても、このレギュレーションのことを悪く言っているつもりは無いのですが、もしかしたら悪く言っているように見えるかもしれないので、念のため…

*29:いろいろな場所でそう呼ばれていたことを最近知った。

*30:19ページ

*31:ただし、時代に逆行する人たちもいたらしい。Rが発売された後でも、頑なに2ndで遊びつづけるCDな連中もいたという話を、フォロワーさんに伺った。

BLセッションをするときは、必ずプレイヤーの地雷についてリサーチするんやで。せんかったら死ぬで。(ブログ主からのメッセージ)